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矯正をしたせいで知覚過敏になった?知覚過敏の原因と対処法
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2022.04.22

矯正をしたせいで知覚過敏になった?知覚過敏の原因と対処法

矯正をしたせいで知覚過敏になったという話を聞いた事がありますか?知覚過敏は矯正治療に関係なく誰にでも起こりうる症状です。ではそもそも知覚過敏はなぜ起きるのか、矯正をする事で知覚過敏になってしまう原因、また実際に知覚過敏になってしまった場合はどうしたらいいのかを紹介していきたいと思います。

1. 知覚過敏とは?

露出した歯の根っこ
※ 画像提供 東京日本橋AQUA歯科

知覚過敏とは、簡単にいうと“歯がしみる”症状のことです。冷たい水でうがいをする時や水を飲む時に歯がキーンとしみる感じがしませんか?それが知覚過敏です。ひどい時は熱いものでもしみたり、甘いものを食べた時、歯ブラシが当たった時、歯医者の診療の際に風を当てられた時などに強くしみてしまいます。

しみる場所がある場合、歯をじっくり観察してみてください。少し歯ぐきが他の歯よりも下がっている感じがしませんか?根っこの部分が露出していませんか?実は、そこの根っこの部分がしみているのです。

2. 歯がしみる原理

歯の構造

口を開けたときに見える歯の白い部分はエナメル質という硬い組織で守られている部分です。普段生活しているときは、歯が刺激を受けてもエナメル質で覆われているためしみる事はありません。しかし、普段は歯ぐきに覆われている根っこの部分は強いエナメル質で覆われておらず、柔らかい象牙質という組織でできています。象牙質には歯の神経につながる無数の穴があいているため、象牙質の穴を通して受けた刺激が神経に伝わり痛みを感じてしまいます。このように象牙質が露出していると刺激が直接神経に伝わるため、“しみる”という症状を感じやすくなってしまうのです。この痛みは一過性なので、刺激がなくなれば痛みもなくなるという特徴があります。

3. 矯正治療が引き起こす知覚過敏

矯正治療は、歯を少しずつ動かして歯並びを整えていく治療です。治療を進めていく中で、歯を動かしたときに歯と歯ぐきの間に隙間ができることがあります。歯ぐきとの間に隙間ができると歯の根っこが露出してしまいます。

先ほど述べた通り、歯の根っこの部分はエナメル質に覆われていないため歯ぐきに覆われていないと象牙質が露出してしまいます。そのため、刺激が歯ぐきとの間に生じた隙間から入ってくることで象牙質が刺激され歯がしみるのです。

また、矯正治療中は装置に食べカスが溜まりやすく、歯を一生懸命磨いた結果、強い歯磨き圧の刺激によりエナメル質が薄くなり象牙質が露出してしまっていることも考えられます。他にも強いブラッシング習慣だけでなく、歯ぎしりや歯周病などにより象牙質が露出する事で症状が出る場合もあります。

4. 知覚過敏を放置したら大変なことになる?

知覚過敏の症状は一過性であるため、しみるのは一時的です。そのことにより歯医者に行かず放置しがちですが知覚過敏は放置していても自然と治るわけではなく、知覚過敏の原因が改善されなければ悪化してしまう危険性もあります。

知覚過敏を放置した結果、何もしていない時もずっと痛みが続き、薬を飲んでも効かないほどになることもあります。そこまで進行してしまうと、知覚過敏ではなく歯髄炎になっている可能性があります。歯髄炎は炎症が元の正常な状態に回復する場合は歯髄を除去する必要はありませんが、炎症が正常な状態に回復しない場合は根の治療をする必要があり、最終的に神経を抜くことになってしまいます。何か少しでも違和感を感じた時はすぐに歯医者を受診しましょう。

5. 知覚過敏になった時の対処法

知覚過敏になってしまった場合、いくつか対処法がありますので紹介していきます。すぐに実践できるものもあるので参考にしてみてください。

5-1. 知覚過敏用の歯磨き粉

テレビCMなどで、歯がしみる時に使うのをおすすめしている歯磨き粉を見た事がありませんか?知覚過敏用の歯磨き粉を使うと知覚過敏の症状を和らげる事ができます。歯磨き粉に配合されている硝酸カリウムという薬用成分が、露出してしまった象牙質をカバーし、象牙質の穴へ刺激が伝わらないようにしてくれます。

歯磨き粉の使用を続けると歯がしみる症状を和げる事が期待できるのです。ただし使用をやめれば再び歯がしみてしまう可能性があるので、使用を継続しなければいけないという点に注意が必要です。

知覚過敏の症状が軽ければ、このように自宅ですぐに実践できるような歯磨き粉の使用だけで症状が改善されることもあります。しかし、1~2週間ほど知覚過敏用の歯磨き粉を使用しても効果がなかった場合は知覚過敏ではなく虫歯の可能性もあるので1日も早く歯医者を受診しましょう。

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5-2. 薬の塗布

歯医者で知覚過敏と診断された場合、まず最初に実施されることが多い治療法が“薬の塗布”です。

知覚過敏は象牙質が露出し、象牙質に刺激が伝わる事で歯がしみるので、露出した象牙質を薬で覆う事によって刺激を遮断し、歯がしみる症状を抑える効果が期待できます。ちなみに薬の塗布の場合、1回だけでなく数回塗布しなければ効果を得られない事もあり少し面倒ですが何回か通院が必要になってきます。

5-3. レーザー治療

露出した象牙質にレーザーを照射することによって、象牙質に加わる刺激を伝わらないようにし、歯がしみる症状を軽減、または完全になくすことが期待できます。レーザー治療は保険適用外で治療費は全額自己負担になる場合がありますので、必ず事前に歯医者で治療費のことや、何回レーザー治療が必要なのか、などを確認しておきましょう。

6. 最後に

いかがでしたか?矯正をしてもしなくても歯がしみることは誰にでも起こりうる症状です。私自身も日々の強い歯磨き圧により象牙質が露出してしまい、以前はしみる部分が何箇所かありました。改善策として歯磨きの仕方を見直したり知覚過敏用の歯磨き粉を使用する事でだいぶ症状が改善されましたが、ひどい時は歯医者で薬を塗布してもらい今ではほとんどしみる症状は無くなりました。みなさんも矯正治療で知覚過敏になってしまうのではないかと不安になっているかもしれませんが知覚過敏は対処法がいくつもあるので、何か少しでも不安な事がありましたら歯医者に相談してみてくださいね。

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